堀口コラム 閑話

こちらのコーナーでは当院のスタッフが医学的な事柄や趣味の世界についてなど、様々な記事を掲載していく予定です。

無駄に思えても、実は意味があるというものがあります。余談のはずが「誰か」の、「何か」の答えになっていたり。我々のコラムを通して、そのような出会いがあれば、幸いでございます。
整形外科 中尾慎一

2021年9月1日 更新

不整脈とスマートウオッチ

 最近はスマートウオッチが世の中に出回っています。
 これは時計にストップウオッチや万歩計、メールや電話の着信通知、音楽まで聴けるような優れモノですが、最近は心拍数、パルスオキシメータ、果ては体温、心電図、血圧測定などの機能を持ったものも出てきています。ただアップルのような有名メーカーから中国製の名もないメーカーまで、文字どおり玉石混交状態です。
 先日知り合いがアップルウオッチを買いました。聞くと仕事中胸がどきどきするとのこと。さっそく症状のある時に心電図機能を利用してみると、心房細動という不整脈が見つかりました。スマートホンのアプリと連動しているので、スマートホン上できれいな心電図波形が記録されておりました(ただし、病院でとるような12誘導ではない)。しかも経時的に保存されており、かつ人工知能で診断までできるという優れものでありました。
 なぜにスマートウオッチにこだわるかというと、循環器科の外来で胸がどきどきする、脈がとぶといういわゆる不整脈を思わせる症状を訴える人が多いこと、診断のためにホルター心電図(24時間心電図)を行うのですが意外に検査中不整脈が見つかることは少ないのです。先ほどの心房細動も慢性化してしまうと脳梗塞や心不全、認知症等を将来発症することがあり、弁膜症など基礎疾患がなければアブレーション(選択的な熱焼灼術)で早期に治療すれば予後はいいとされています。
 早期発見・早期介入が重要ですが、患者さんは症状に苦しんでいるのに証拠もなく可能性だけでは治療するわけにもいかず、常にこのギャップに悩んでいます。ということで症状があるときにその場で簡便に心電図が取れればキチンと診断できる、まさに循環器科の立場からすると夢のような道具なのです。
 小生もこの春ネットショッピングで中国製のスマートウオッチを買いました。メーカーは聞いたことないし、また注文した商品が違っており、お客様相談窓口に連絡するも対応は怪しげ、届くのにも時間がかかるし、口コミを見るとベルトが壊れやすいなど評判はさんざん。
 ただ安い(小生のものは送料込みで7100円、ポイントがあればさらに安い)。それでいて心拍数、パルスオキシメータ、果ては体温・心電図・血圧測定と多機能。
 実際に使ってみると、心電図については結構きれいにとれているので不整脈の診断には有効かもしれません。血圧などは人によって実際の血圧計と数字のずれが大きいなどありますが、日頃の健康管理の道具としては使えるかもしれません。
 もっとITが進歩すると、知らない間に心電図波形のみならず血圧などのデータが外来に届いているなんてこともあるかもしれません。ただ診断精度はどのくらいなのか、セキュリティーの問題、医療器具として厚労省のお墨付はないので、いまのところは個人で使用する分にとどめておくほうがいいかと思います。

循環器内科 北田雅彦

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